歯根嚢胞(しこんのうほう)進行状態に応じて治療が変わります

歯根嚢胞:radicular cyst

表面と内部にできる疾患

根尖(こんせん)性歯歯周組織疾患の一種で、表面に現われた嚢胞壁と、 内部に貯留した液状物質の嚢胞腔から形成された疾患です。 マラッセの上皮遺残が歯根肉芽種内で増殖して循環・栄養障害によって内部が融解します。 すると嚢胞が形成されます。嚢胞壁は3層(重層扁平上皮、肉芽組織、線維性結合組織)から作られます。 内層の上皮層は、重層扁平上皮からなり、中層は肉芽組織となります。 中層には、リンパ球や形質細胞、泡沫細胞の浸潤がみられます。 外層にあたる“線維性結合組織”には、リンパ球や形質細胞が浸潤して周囲の骨に連なります。 嚢胞内には、黄色や暗褐色の液状物があり、液内には各種の円形細胞、剥離上皮細胞、泡沫細胞、コレステリン結晶などがあります。 病状の進行は遅いため、自覚症状があまりなく、ものを噛んだときに不快を感じたり、 歯を叩くことで疼痛があったり、濁音がみられることがあります。 歯冠の変色や、根尖部の歯肉に腫れた隆起があります。 治療方針としては、感染管根治療、根管充填を行いますが、治癒が望めないものに対しては外科的歯内療法が行われます。